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掃除・挨拶・礼節──「基本」を大切にする日本的経営


はじめに

売上や戦略の議論は熱を帯びます。
けれど会社を強くする根は、いつも足もとにあります。

掃除、挨拶、礼節、整理整頓、気配り、助け合い。
当たり前と呼ばれた“基本”こそ、人を育てる道。

この記事では、基本を「作業」から「行」へ。
日本的経営の原点を、静かに取り戻す道を示します。


忘れられた「基本」の力

気づけば、職場から「基本」が消えつつあります。

挨拶は小さくなり、掃除は形だけ。
礼節や気配りは、マニュアルで教える“スキル”に置き換えられました。

忙しさと効率を優先するあまり、
人の心を育てる“場”が薄れているように感じます。

経営者が「社員教育が難しい」と嘆く背景には、
実はこの“基本の形骸化”があります。

どれほど優れた仕組みを導入しても、
そこに「人を思う心」がなければ続かない。

かつて多くの会社では、
掃除や挨拶、整理整頓は「仕事の基本」でした。
しかしいつの間にか、
それらは“雑務”や“作業”と呼ばれるようになってしまったのです。

今、もう一度問うべきではないでしょうか。
「基本とは何のためにあるのか?」
そしてそれを、どう次の世代に伝えていくのか──。


「掃除は心を整える行」

以前、人材育成のサポートをしていたスーパーマーケットの社長が、
いつもこう話しておられました。

「入り口は玄関、店内は応接間、ショーケースはお茶碗、商品はあたたかいごはん。」

なぜ掃除をするのか、整理・整頓をするのかを、社員やパートさんに伝えるための言葉です。
社長はこう続けました。

「あなたの家にお客様が来るとき、どうしますか?
まず玄関や部屋を片付けたり、掃除したり、きれいにしますよね。
お茶を出すときも、汚れたお湯のみでは出さないでしょう。
せっかく来ていただいたお客様に、心地よく過ごしてもらいたい、おいしいごはんを食べてもらいたい。
掃除や整理・整頓をするのは、その“心の準備”なんですよ。」と

その会社では、朝の掃除が単なる“作業”ではなく、
お客様を迎える“行(ぎょう)”として行われていました。

一人ひとりが「今日も気持ちよく迎えよう」という想いで動く。
そこには温かい空気が流れていました。

別の企業では、社是に「人間創造・人間道場」、
社訓に「道義を尊重せよ、各自理性を深めよ」と掲げています。

どちらの会社も、根底には同じ精神がありました。

会社とは、仕事を通して人を磨く道場である。


「作業」から「行」へ──基本を文化に戻す

最近では「恥ずかしい」という感覚を持つ場面が少なくなりました。
家に人を招くことも減り、「人を迎える準備」をする機会が少なくなっています。

けれど、私たちは仕事を通じて、毎日のようにお客様を迎えています。

掃除や挨拶、礼節、整理整頓は、
本来 “恥をかかないため” ではなく、
“相手を気持ちよく迎えるため” の行いです。
つまり、相手を想う「おもてなしの心」の表れ。

その意味で、
掃除や挨拶を “作業” として行うのか、
それとも “行(ぎょう)” として行うのかで、
同じ動作でも心の深さがまったく違ってきます。

“作業” は外をきれいにします。
“行” は内をきれいにします。

前者は「やらなければならないこと」、後者は「自分を整える時間」。
だからこそ、“行”として続けることで、人の心が静かに磨かれていきます。

経営も同じです。

仕組みや制度を整えることは“作業”ですが、
人を信じ、支え合う文化を育てることは“行”。

では、どうすれば「基本」を“行”として会社に根づかせることができるのか。

そのための実践軸は、次の3つです。


①「場づくり」

朝礼や掃除を、形ではなく「意味」でつなぐ。
なぜやるのかを語り、感じ合う時間を大切にする。

②「関係づくり」

役割分担より“助け合い”を優先する。
自分の仕事だけでなく、仲間の仕事にも気づく文化を育てる。

③「習慣づくり」

リーダーがまず“背中で基本を見せる”。
やり方ではなく、あり方を示す。

この3つを続けることで、
掃除も挨拶も、単なるルールから“文化”へと変わっていきます。
基本を整えるとは、会社の心を整えること。
それが、これからの日本的経営に求められる姿です。


基本を整えることは、会社の根を整えること

もし今、あなたの会社で
「社員の動きが鈍い」「チームに温度がない」と感じているなら、
大きな改革よりも、まず“基本”を見直してみませんか。

掃除、挨拶、礼節、整理・整頓。
それらは単なる習慣ではなく、
「人を思いやる心」を形にする行為です。

基本を整えるとは、会社の“根”を整えること。
その根がしっかりすれば、枝葉(売上・業績)は自然と伸びていきます。

この考え方は、
人を数字ではなく「いのち」として見る経営、
つまり“人を生かす経営”を志す方にこそ響くはずです。

もしあなたが、
・仕組みより人づくりを大切にしたい
・助け合いや協力の文化を取り戻したい
・会社を「自己育成の道場」として育てたい
と願うなら、
今日からできる一歩があります。

それは、玄関を一緒に掃除すること。

たとえ5分でも、
経営者が社員と同じ場所を磨く姿を見せるだけで、
会社の空気は変わります。

「作業」ではなく「行」としての掃除。
そこに、“心が通う経営”の原点があります。

あなたの会社では、
どんな「基本」を、今日から磨いていきますか?


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