職場で部下の成長を支えたい──
そう願って問いかけてみるけれど、なかなか反応が返ってこない。
黙ってしまったり、表情が読み取れなかったり、会話が続かないこともある…。
「問いかければ、育つ」
そんな言葉を信じてやってみたのに、どうして届かないのだろう?と悩むこと、ありませんか?
実はそこには、“問いが届かない見えない壁”が存在しているかもしれません。
この記事では、現場でよくある問いかけのつまずきとその背景、そして、部下との関係性を温めながら“問いが届く関わり方”を考えていきます。
なぜ部下に問いかけが届かないのか?
育成がうまくいかない“見えない壁”とは
「どう思う?」「君の考えを聞かせて」
部下の主体性を引き出したいとき、問いかけは有効な手法の一つです。
けれど現場では、こんな悩みの声があとを絶ちません。
- 問いかけても黙ってしまう…
- 反応が薄く、会話が続かない…
- そもそも何をどう聞けばいいのか分からない…
もしあなたがこう感じているなら、それは「問い方」ではなく、 “問いを受け取る土台” ができていないのかもしれません。
問いかけが届かない“根本的な理由”
問いかけとは、信頼関係の上に成り立つ“橋”のようなものです。 土台が脆ければ、どれだけ上手に問いかけたとしても、言葉は届きません。
たとえば普段ほとんど会話のない上司から、突然「どう思う?」と聞かれても、 部下は「本当に聞いてくれるのかな?」「これって試されてる?」と構えてしまいます。
逆に、日頃からちょっとした努力に気づいてもらえていたり、 「あの時の対応、よかったね」と言ってもらえたりすれば、 問いかけに対しても自然に心が開かれていきます。
つまり、問いの前に必要なのは、“この人なら話しても大丈夫”と思ってもらえる関係性の土台です。
小さなひとことが、信頼の始まり
問いかけの前に効果的なのが、観察に基づいたフィードバックです。
- 「朝早く来てたね。準備してたの、見てたよ」
- 「新人さんに声かけてたね。ちゃんと見てるよ」
こんなひとことがあるだけで、「自分のことをちゃんと見てくれてる」という安心感が生まれ、 問いかけを受け取る心の準備が整います。
人は“見られていない”“気にされていない”と感じると、 「どうでもいい存在なのかもしれない」と受け取ってしまうこともあります。
逆に「見てくれている」と感じるだけで、 信頼感が育ち、もっと応えたいという気持ちが自然に湧いてくるのです。
育成がうまくいかないのは、スキルではなく“関係性”かもしれない
問いかけが届くかどうかは、その人の言葉のセンスや話術ではなく、 日頃のちょっとした関わりの積み重ねにかかっています。
笑顔、アイコンタクト、あいさつ、声かけ。 そんな一見“普通”のふるまいが、実は育成の最大のベースになっているのです。
「問いかければ人は育つ」──これは半分正解で、半分不正解。 本当は、問いの前に“関係性ありき”。
この前提を理解するだけで、育成の現場は大きく変わります。
この先の具体例・実践法はこちらで解説しています
- 問いかけが“届く人/届かない人”の違いとは?
- 問いの前に必要な3つのアプローチ
- 「どう思う?」の効果を高める、言葉と順序の工夫
noteの有料記事では、 管理職が現場で活用できる具体的な会話例やリアクションのコツ、 “信頼をつくる問いかけ”の実践法をより詳しくご紹介しています。
問いを磨くことは、関係性を育てること。
あなたの問いが、チームに力を与えるきっかけになりますように。