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9割の中小企業が陥る人材育成の課題。時間がない・教えても育たない問題を解決し、人が育つ組織をつくる方法

「手塩にかけて育てたつもりなのに、なかなか成長しない…」
「ようやく一人前になったと思ったら、辞めてしまった…」
「そもそも、日々の業務が忙しすぎて、育成にまで手が回らない」

中小企業の経営者や人事責任者の方々から、このような切実な悩みよく伺います。
しかし、その悩みの裏側で、「うちの会社は特殊だから」「育てる時間も金もない」といった“言い訳”が、本質的な問題から目を逸らさせてはいませんか。

多くの企業が、OJTや研修といった施策を導入しているにもかかわらず、なぜ人材育成はうまくいかないのでしょうか?

その原因は、スキルや知識といった表面的な問題ではなく、人としての「あり方」という、より深く、根源的な課題を看過していることにあるのかもしれません。

本記事では、まず多くの経営者が口にする「9つの言い訳」を提示し、それらがなぜ問題の本質ではないのかを探っていきます。

その上で、人間教育を土台とし、経営者の「思い」と理念を核とした戦略的な育成の仕組みを構築するための具体的ステップを解説します。

この記事を最後までお読みいただければ、貴社の人材育成が単なる「コスト」から、企業の未来を創る「戦略的投資」へと変わる、確かなヒントが見つかると思います。

よく聞かれる9つの“言い訳”:あなたの会社は当てはまっていませんか?

人材育成がうまくいかない企業には、共通する「口癖」があります。

それは、一見もっともらしい理由に聞こえますが、実は変化を拒むための“言い訳”に過ぎないことがほとんどです。まず、自社がこれらの言い訳に囚われていないか、胸に手を当てて考えてみてください。

  1. 「お金がない」育成に回す予算がない、という主張
    しかし、採用には多額のコストをかけているはずです。
    採用した人材が育たず、辞めていくことで発生する損失(再採用コスト、機会損失)と、戦略的な育成投資を天秤にかけているでしょうか。「お金がない」は、人材育成の優先順位が低いことの裏返しに他なりません。
  2. 「時間がない」最もよく聞かれる言い訳
    経営者も社員も日々の業務に追われ、育成に時間を割けない。
    しかし、時間は有限であり、何に使うかは優先順位の問題です。目先の業務に追われ、未来への投資である育成を後回しにし続けることは、企業の成長を自ら止めているのと同じです。
  3. 「育てる人がいない」「教えられるスキルを持った人材がいない」という嘆き
    しかし、完璧な指導者など存在しません。
    「育てる人」がいないのではなく、社員全員で「育てよう」という文化や、育成スキルを学ぶ機会がないだけではないでしょうか。
  4. 「行き当たりばったり」になってしまう
    これは「言い訳」というより、無計画な現状を認めているだけですが、その状態を放置していること自体が問題です。場当たり的な対応が続くのは、どこを目指すかというゴール、つまり育成戦略が存在しないことの証拠です。
  5. はやりものの研修テーマに手を出す
    「DX研修」「リスキリング」など、流行りのテーマに飛びつくものの、自社の課題と結びついていないケースです。これは「何かやっている感」を出すためのアリバイ作りであり、計画性の欠如をごまかす行為と言えます。
  6. 「社員のレベルが低い」と経営者が思っている
    「そもそも、うちの社員は意欲も能力も低いから育てても無駄だ」という、経営者自身の諦めです。しかし、社員の可能性を信じず、能力を引き出す努力を放棄するのは、経営者としての責任を放棄していることに他なりません。社員は、経営者の期待以上の人材にはなりません。
  7. 「一過性で継続性がない」研修をやったきり、効果測定もフォローアップもない
    これも「行き当たりばったり」と同様、育成をイベントとして捉え、日常業務に組み込む仕組みがないことの表れです。
  8. 「計画性がない」
    4、7と共通しますが、結局のところ、誰を・いつまでに・どのような人材にしたいのか、という育成計画そのものが存在しない状態です。羅針盤のない航海で、目的地にたどり着けるはずがありません。
  9. 「自分の業界は特殊だ」と思い込んでいる
    「うちの業界は特殊だから、他社の成功事例は参考にならない」という思い込みです。これは、変化を拒み、学ぶことをやめるための非常に便利な言い訳です。しかし、どんな業界であれ、人が育つ原理原則に大きな違いはありません。

これらの“言い訳”は、一つひとつが問題の「症状」です。そして、これらの症状を生み出しているのが、次に解説する「根本原因」なのです。

人材育成がうまくいかない根本原因

前述した9つの言い訳は、なぜ生まれてしまうのでしょうか。その背景には、より根深い3つの構造的な原因が潜んでいます。

育成が属人的・場当たり的になっている

最大の原因は、育成が特定の「できる社員」の経験や勘に依存し、仕組み化されていないことです。
その「できる社員」が退職したり、異動したりすると、途端に育成ノウハウが失われてしまいます。

また、指導者によって教える内容や基準がバラバラなため、社員の成長が「誰の下につくか」という運に左右されてしまうのです。これでは、安定した人材の輩出は望めません。

組織としての“育成文化”が根付いていない

「人は育てるもの」という共通認識が組織全体に浸透していない状態です。

育成に時間をかけることが評価されず、むしろ目先の業務を優先することが求められる雰囲気はありませんか?
失敗を過度に恐れ、挑戦させない風土はありませんか?

このような環境では、社員は安心して学ぶことができず、指導者も育成に前向きになれません。「人を育てることは、組織全体の重要な使命である」という文化の醸成が不可欠です。

経営層と現場の意識ギャップが障害になっている

経営層は「若手にはもっと主体的に動いてほしい」「早く成長して戦力になってほしい」と期待する一方で、現場は「日々の業務で手一杯。育成どころではない」「そもそも人が足りない」と感じている。

この意識のギャップが、育成を阻害する大きな壁となります。経営層が現場の実態を理解せず、精神論や一方的な指示に終始してしまうと、現場は疲弊し、育成は形骸化していきます。

人材育成の課題を乗り越えるための戦略とは

根本原因を理解した上で、次はいよいよ解決策です。
場当たり的な施策ではなく、持続的に人が育つ「仕組み」を構築するための戦略的視点をご紹介します。

経営理念を核に、ビジョンと連動した育成戦略を描く

人材育成戦略の出発点は、経営者自身の「どのような会社にしたいのか」という強い意志であり、企業の存在意義を示す「経営理念」です。

理念は、社員が「何のために働くのか」、会社が「どこへ向かうのか」を示す、ブレない軸となります。この理念に共感し、その実現に向けて自律的に行動できる人材を育てることこそが、人材育成の究極の目的と言えるでしょう。

「人間教育」こそが全ての土台であると心得る

スキルや知識を教える研修は数多く存在します。しかし、それだけでは真に信頼され、会社を背負って立つ人材は育ちません。最も重要なのは、その人の「あり方」「生き方」を育む人間教育です。

今、多くの企業で問われているのは、学校教育だけでは補いきれない、倫理観、道徳観、正義感、礼節、感謝の心といった「人としての軸」を、企業がどう育むかという課題です。

これらは、リーダーシップの根幹をなし、組織の風土を健全に保つための土台そのものです。

礼節をわきまえ、感謝の心を忘れない。そうした人間的土台があって初めて、OJTや専門スキル研修が真に活きてきます。
表面的なマナー研修とは一線を画すこの「人間教育」を、経営者自らが重視し、率先して語り、実践する姿勢が求められています。

一人ひとりに合わせた最適な育成と評価を設計する

画一的な研修を全員に受けさせるだけでは、効果は限定的です。
社員一人ひとりの強み、弱み、キャリア志向を把握し、個別最適化された育成プランを設計することが重要です。

定期的な1on1ミーティングなどを通じて対話し、本人の目標と会社の期待をすり合わせます。
そして、成長のプロセスや成果を正当に評価し、昇給や昇格といった処遇に反映させることで、学習意欲を強力に引き出します。

OJTとOff-JTをどう組み合わせるか

OJT(職場での実践を通じた育成)とOff-JT(職場を離れた研修など)は、車の両輪です。
OJTは実践力が身につく一方、体系的な知識の習得が難しい側面があります。

対してOff-JTは、専門知識を体系的に学べますが、実践に繋がりにくいという弱点があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、「Off-JTで学んだ知識を、OJTの場で実践し、上司がフィードバックする」といったように、両者を意図的に連動させることが、学習効果を最大化する鍵となります。

階層別・役割別に見る育成課題と成功のポイント

必要なスキルやマインドセットは、社員の階層や役割によって異なります。
ここでは「新入社員・若手」「中堅社員」「管理職」の3つの層に分け、それぞれの育成課題と成功のポイントを解説します。

新入社員・若手:社会人としての土台と人間力を育てる

この層の課題は、学生気分が抜けきらず、指示待ちの姿勢が強いことです。
ビジネスマナーや会社のルールといった基本はもちろん、それ以上に「人として信頼されるとはどういうことか」を教え、感謝や礼節といった人間力の土台を築くことが重要です。

小さな成功体験を積ませることで、自ら考えて行動する「主体性」を育んでいきます。

中堅社員:リーダー意識とキャリア自律を支援する

プレイヤーとしては一人前になったものの、次のステップが見えず停滞しがちなのが中堅社員です。
この層には、後輩指導やチーム運営といった、次世代リーダーとしての役割を意識させることが重要です。

その際、テクニックだけでなく、倫理観や公平性といった人間性が問われることを伝え、自身のキャリアについて主体的に考える「キャリア自律」を促します。

管理職:経営視点と“人を育てる人間力”を身につける

管理職の課題は、プレイヤーとしての成功体験から抜け出せず、部下を育成・活用するマネジメントができないことです。自身の部署の目標達成だけでなく、全社的な視点、つまり「経営視点」を持つことが求められます。

同時に、部下の能力や意欲を引き出すためのコーチングスキルと、手本となるべき人間性、つまり「育てる力」そのものを磨き続ける必要があります。

人材育成の課題解決に役立つ実践手法

ここでは、前述した戦略を実現するための具体的な実践手法をいくつかご紹介します。自社の課題や状況に合わせて、導入を検討してみてください。

スキルマップ・メンター制度で成長を可視化・支援

スキルマップとは、業務に必要なスキルを洗い出し、社員一人ひとりの習熟度を一覧にしたものです。
これにより、社員自身が「自分の強み・弱み」や「次に目指すべきスキル」を客観的に把握できます。

メンター制度は、新入社員や若手社員に対して、直属の上司とは別の先輩社員が相談役として公私にわたるサポートを行う制度です。業務だけでなく、人としての悩みにも寄り添うことで、精神的な支えとなり、早期離職の防止に繋がります。

ジョブローテーション・プロジェクト型学習の活用

ジョブローテーションは、定期的に部署や職務を変更する制度です。多様な業務経験を通じて、社員の潜在能力を引き出し、多角的な視点を養うことができます。

プロジェクト型学習(PBL:Project-Based Learning)は、実際の業務課題や新規事業立案といったプロジェクトをテーマに、チームで取り組む学習方法です。課題解決能力やリーダーシップといった実践的なスキルが身につきます。

定期的な1on1で育成の進捗と課題を見える化

上司と部下が1対1で対話する1on1ミーティングを、週に1回あるいは隔週で30分程度、定期的に実施します。

業務の進捗確認だけでなく、部下のコンディションやキャリアの悩み、人としての成長など、深い対話を通じて信頼関係を築くことが目的です。

人材育成の課題を改善するために経営者がすべきこと

様々な課題や手法を解説してきましたが、これらを機能させるために最も重要なのは、経営者のコミットメントです。最後に、経営者が果たすべき役割についてお伝えします。

「育成は現場任せ」から「全社戦略」への転換

人材育成は、現場の管理職に丸投げしてはいけません。
経営者自らが「人材育成は、企業の未来を創る最重要の経営課題である」という強いメッセージを発信し、全社を巻き込んでいく必要があります。

そして何より、経営者自身の言葉で、自社の理念やビジョンに込めた「思い」、そして「どのような人間であってほしいか」を、情熱を持って繰り返し語り続けることが不可欠です。

その熱意が、社員の心を動かし、育成に前向きな風土をトップダウンで醸成していきます。

定着率や生産性を上げるフィードバックと評価の仕組み

社員が成長を実感し、会社への貢献意欲を高めるためには、公正で納得感のある評価制度が不可欠です。
単に結果だけを評価するのではなく、目標達成に向けたプロセスや、新しい挑戦といった「行動」も評価の対象に加えることが重要です。

また、ポジティブな点も改善すべき点も、客観的な事実に基づいて具体的に伝える「質の高いフィードバック」を、経営者や管理職が実践できる仕組みを構築することが、社員の定着と組織の生産性向上に直結します。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

人材育成の課題は、一朝一夕に解決できるものではありません。

しかし、耳の痛い“言い訳”と向き合い、自社の課題を正しく認識し、戦略的な視点を持って一歩ずつ改善に取り組むことで、組織は必ず変わることができます。

「社員の人間力を高める育成とは、具体的にどうすればいいのか」
「自社の理念を、どう育成戦略に落とし込めばいいか分からない」

もしこのようにお考えでしたら、ぜひ一度、私たち「村上経営研究所」にご相談ください。

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